つい先日、6月17日のこと。Mike Robertsがお亡くなりになったとFBで知った。
この名前を耳にしても、おそらくほとんどの方は「誰?」といぶかることだろう。
Mikeは“It's George”という会社を立ち上げ、George Caseを世に送り出した人である。
私が彼にお会いしたのは1987,88年頃のこと。
長い口髭を生やしたMikeはフランス訛りの強い英語を話すので、
私は何を言われているのかさっぱり理解できなかった。
彼と私との会話を周りの人がノーマルな英語で通訳してくれるのだが、
『どうしてLuckyはオレの英語を理解できないんだ!』といつも興奮していたっけ。
「いいか、オレの口元をよく見ろ、□□□×××△△△、わかるだろ?」と言われ、
私が隣に「What did he say?」と聞くと白い肌を真っ赤にして、
「もう一度!Lucky、もう一度だ!!」と何度も話してくれた。
そのやり取りを見ている周囲の人は大笑いでいつも愉しかったし、
今こうして書きながら思い出している自分も笑顔いっぱいである。
さて、本日ご紹介するのはそんなMikeが私に作ってくれた、
ホワイトパイソンのケースと、黄色の象革のケース。
どちらも2バット4シャフトで、コレクション用として今も愛用している。
George Caseはとても密閉率が高くて、私が最も信頼できるケースの1つなのだ。
ホワイトパイソンは、実際に彼の工場で見た時はとても驚いた。
床に置かれたその革(製作前)は、優に7〜8メートルはあった。
そのぐらいの大蛇でないとこんなケースは作れないのだ。
私はその当時、30〜40本のGeorge Caseを仕入れたと思う。
2B4Sの物は“ジョイントサイドがボトムになるように入れる”ことはもちろん私は知っていたが、
バットエンドから入れてしまって陰圧で抜けなくなってしまったことが2度あった。
いくら教えてもスタッフは理解できなかったのだろうね。
私の顔もMikeのようにきっと真っ赤になっていたと思う。
おっと、それから、It's GeorgeはGeorge Cueも製作していたね。
キュー作りを教えたのは大御所キューメーカーのBill Schickで、
ルイジアナのシュリーブポートに共同で大きな工房で作っていた。
日本から行くには当時は飛行機を3回乗り換えなければならず、36時間もかかったが、
そうして大変な思いをしたことも今では懐かしくて愉しい話である。
合掌
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