私はもともと、いちコレクターであり、仙台にあるビリヤード場のオーナでした。
何故この業界に入ったのか、ひと言で言うと、『カスタムキューの業界と常識を変えたかったから』。
 カスタムキューは、ずっとずっと孫の代まで受け継がれていく物だと思います。
 『昔はおじいちゃんがこのキューでビリヤードしてたんだって。』
 そんな話があってもいいですよね。その為には、リペアなどのアフターケアという点から逃げることは出来ません。
 だから、私達は、キューをお求めいただいてからがお客様との本当のお付き合いのスタート。ずっと長く、気持ちよくお付き合いが出来るということが何より大切だと思っています。
 それから、キューは芸術品でもあり、道具でもあります。もっともっと作り手の気持ちと、使い手の要望をお互いに伝えたい。その架け橋の役目が出来たらと思ったことが始まりでした。
〈キューを集めたきっかけ〉
 初めは全てのメーカーを1本ずつ集めたい、と思ったことがきっかけです。もともと何でも集めるのが好きだったので、キューに関してもごく自然な欲求でした。
 その中でも、ザンボッティに惚れ込んでいて「いつかはザンボッティ」と常に考えていました。 そして1980年代半ば頃、ついに念願のガス・ザンボッティを購入してからは、しばらくは“Szamboti”という1つのメーカーに絞ってコレクションが始まったのです。
 その後は、もう完璧にカスタムキューの魅力にまいってしまい、毎年アメリカで開かれているエキスポ(展示会)に顔を出しては、 コツコツとコレクションを増やしていきました。

〈自分が紹介するキューへのこだわり〉
 私のキュー選びのポイントは、ずばりそのキューが好きになれるかどうかです。
 あまり日本での人気というものを気にしてはいません。そのキュー自体に(またはその作った人)に魅力があるかどうかです。だから、日本ではあまり馴染みのないメーカーのキューも入っているかもしれません。
 でも I Love Cues に掲載しているキューは、どれも私が好きなもので、1本1本私が自信をもって勧められるものばかりなんです。
 最近では、同じキューメーカーのキューを全部並べて、時代時代での作り方や構造の違いだったり、キュー1本1本の硬さなどを調べたりもしています。どうしてもアメリカと日本では、ラシャや台のコンディションが違う為、日本の環境に合うように、こちらから要望を出す事もよくあります。
 また、海外のEXPOに行ったときも、自分の判断を大事にします。曲がりやキズがあるキューは、仕入れないようにしています。たとえなかなか手に入らないメーカーのキューだったとしても、 それを承知で売るようなことはできません。これはコレクターとしての意地みたいなものでしょうか。(笑)

〈2004年お店を構えて〉
 I Love Cues の初めの3年間は、ネット販売がメインで、それに年2回のイベントで運営していました。
 私の地元である仙台を拠点として、出来るところからというのがもともとの考えでしたね。仙台には I Love Cues として店舗は構えていませんでしたが、ありがたいことに、大阪・名古屋・東京・北海道などからもお客様に来ていただいたこともありました。
 『実際に見てみたい』、その声が大きく聞こえ始めたことで、2004年10月、ようやく東京にショップを出すことになりました。
 やはり東京は日本の中心地。全国から集まりやすいのではということで、この決断は私の中で早かったですね。今は何かと話題の耐えない六本木ヒルズのすぐそばから、世界に向けてカスタムキューの情報を発信しています。
 東京に出てきて何が違うか。それはもちろん、今までにお会いできなかった方たちとゆっくり話す時間が出来たことです。韓国やヨーロッパからもわざわざ旅行のたびに来てくれる人まで出てきました。仙台にいたときよりも少しだけ世界が広がりましたかね(笑)

〈今後のILCの展望〉
 道具としてのキューは、私がコレクションを始めてからの20年余りで、大変な変遷をとげています。日進月歩とは言いませんが、まさに隔世の感がある程、デザイン・素材・構造・理論が違います。また、プレイヤーサイドの好みも移り変わっています。その中で、いつかはキューを作りたいという夢(エゴ)があるのも事実です。
 でもそれよりも今は、自分の信じるカスタムキューメーカー達と共によりよいキューを生み出すことが、自分の使命ではないかと思っています。
 彼らは変化をあまり好みません。信じる物を守り続け、彼ら1人1人の良さを保ちながら、更に上を目指す・・・私はこの事が大変意味のあることだと思っています。
 もう1つは前述しましたが、アフターケアを最重点として、皆様の嗜好品を長くお持ちいただくこと。何といっても日本はカスタムキューの宝庫ですからね。
 それらをよりよい状態で、長くお持ちいただくことも、我々の使命なのではないかと思っています。

2005年7月
(有)ラッキーズキューインターナショナル
代表取締役   菱沼 厳



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