メンテナンス、リペアのこと

カスタムキューを良い状態に保つ為には保管方法が大切です。
湿度約50%・温度10〜25度前後という状態を、年間を通して一定に保てれば最高です。

しかし、一般家庭においてそれは現実的に不可能に近いでしょう。特に湿度については、です。

Whittenの工房にて

というわけで、ここからは皆さんができる保管方法、メンテナンスをご紹介します。


まず、キューケースはとても重要です。
Whittenなど、なるべく気密性の高いケースを選びましょう。
そのケースの中で、良い状況を保つのです。
私も自分のコレクションキューは最近はほとんどWhittenケースで保管しています。(他にThomas、Georgeなども使っています)
Whittenはジッパーだから密閉性が低いのかなと思っていましたが、使ってみて大変性能が良いことに驚きました。

ちなみに“Whitten公認”などと謳った怪しいケースも出ていますが、JoeもDanも完全に否定していましたので気を付けて下さいネ。
公認ではなく、Whitten製を選んでください。(コピー品に注意です。)

キューについては、プレイで使った後に濡れたおしぼりでシャフトを拭くのは絶対にやめましょう。
実はこれが曲がりの原因になります。木は水分を含むと必ず動きます、忘れないでくださいね。

撞いた後は軽〜く乾拭きをして表面の汚れを落とす程度でOK!
自分の手脂でコーティングされるぐらいがちょうど良いのですよ。

どうしても紙ヤスリでテーパーを調整する時は、ちょっとずつ、ほんのちょっとずつ、
天気の良い日に室内で何日かにわけて行いましょう。
一気に削るのはリスクが高いです。


それから、車に入れっぱなしも厳禁です。たった数時間でキューが曲がります。
暑い日にはご注意を。(5月〜10月)
湿度の高い梅雨時期や蒸し暑い日、大雨の日はできるだけキューをケースから出さないことも大切です。




ここからはリペアのお話です。


タップの交換はお店の方にお願いすることもあるでしょうし、ご自分でされる方も多いでしょう。

タップは比較的簡単に交換できますね。
先角を傷つけないように、また、刃を先角に対して直角に当ててならすように気を付ければ問題ありません。

先角の交換は、ご自分ではできないところです。
信頼できる専門の方にお願いするのが一番です。
もし国産のキューならば必ず製作者に頼みましょう。それが一番!!

先角の装着方法にはいくつかの種類(タイプ)があります。
被せるだけのキャップ型、真ん中が真っ直ぐ抜けている筒型・ホース型、ねじ切りをしている型(当社はこのタイプです)などがあります。

せっかくのねじ山を壊してホース型にされてしまうのは困ります。
先角交換を依頼される時は、オリジナルの型のまま交換できるところに頼みましょう。


ちなみにねじ切りのタイプはタップを外すと中央からずれた所に芯が見えますが、これが通常ですよ、「中心が取れてない!」なんて言わないでくださいね〜。
螺旋階段を想像して頂くとわかりやすいと思います。
きちんと中心を取っているからこそできることなんです。
グリップの革巻き直し、糸巻き直しはほとんど皆さん
一度はされていることと思います。

これもきちんと信頼できる専門の方にお願いすることをお薦めします。

当社のリザード

長期熟成メープルシャフト
 当社では、タップ交換、先角交換はもちろんのこと、革巻き・糸巻き直し、塗り直し(リフィニッシュ)、シャフトクリーニングなど、様々なメンテナンス・リペアを行っています。

キューの状態やキューに使われている素材によって価格が変わりますので、ご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

また、2018年の暮れから始めたスペアシャフト製作も累計本数250本を超え、キューを永く愛用される方が多くいらっしゃることを実感しています。


必要に応じてメンテナンスとリペアをしっかりおこない、
大切な相棒とこれからもずっと一緒にいられますように。


2021年4月  Lucky